オフィスという場の変格がワークプロセス自体の変革をもたらし、業績への貢献を果たした数少ない事例といえる。(注)「知識創造プロセス」を実際の実際のオフィスのデザインに落とし込み、そこでの働き方やスペースの活用の仕方を「チェンジマネジメント」という手法を用いながら、ワーカーと一体となって改革することで、ワークプロセスの変革を成功させている。その結果、商品開発のスピードを短縮するなどの成果があらわれており、現在も継続的に変革が進められている。
(注)「知識創造プロセス」: |
一橋大学大学教授の野中郁次郎氏が提案した知識変換モデル。暗黙知から形式知、個人知から組織知への変換の過程で新たな知識が生まれてくると提言。 |
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(エントランス)
エントランスエリアは、仕事の目的を表現することを重視した。知識が生まれるというイメージを、楕円(卵)で床やドアに表現し、フロントガラスシートでDNA螺旋を表現した。 |
(CADエリア)
CAD作業も必要に応じて他のメンバーと手軽にコミュニケーションを取ることが、仕事のスピードアップに繋がる。打ち合わせが簡単にできるよう、エリア内に打ち合わせテーブルを設置した。 |
(設計執務室)
デザインをする前に、どのような形でコミュニケーションが取られているかを観察、理解した。各部署のスタイルに合った形で、多様なコミュニケーション(朝礼、会議、ちょっとした打ち合わせ)が促進されるような場を設置した。 |
(開発プロジェクト室)
上記4つのエリアは、知識創造プロセス(共同化、表出化、連結化、内面化)の流れに対応して場をデザインした。 |
(商品のデモンストレーション・センタ)
デモンストレーション・センタは、会社の商品をベストな形で顧客に体験した上で買う気になって頂く、顧客の意見を引き出すという二つの大切な機能を持つ場である。そのためには、来訪者(顧客、営業、設計等)が相互に刺激されながらもリラックスした雰囲気で、コミュニケーションの促進が図れるような工夫を加えた。 |
(新クリーンルーム棟)
新クリーンルームに入居する人たちは、異なる会社、地域から移動して来るため、新しい場所での文化作りが大きな課題だった。そのため、チェンジ・マネジメントを重視したオフィスデザインのワークショップを行い、デザインに入居するワーカーの思いを活かしながら、部署の目標、目的を可視化させた。 |